振袖の由来・意味

振袖の袖はなぜ長いのか

成人式は一生に一度のイベントですが、多くの成人が和服で参加しています。
振袖を持ってはいるものの、着る機会があまりないので、この時こそと華やかに装います。

振袖は結婚していない女性なら誰でも着る事ができるものですが、実際はあまり年齢を重ねてしまうと着難いのが人情です。
振袖には大振袖、中振袖、小振袖の3種類があります。
そもそも、振袖はなぜあの様に長いのでしょう。

魂振り

そのヒントは「振る」という言葉に隠されていました。
振袖の期限は古く、奈良時代にまで遡りますが、今の様な形になったのは江戸時代になってからです。
古来より厄除けや神を呼び起こすために空気を揺るがすという考え方がありました。

空気を揺るがすために行われる行為として、神社で鈴を鳴らしたり、柏手を打ったりします。
これを魂振り(たまふり)と言い、日本人の生活の様々なシーンでそれと知らずに行われています。

さようならと手を振るのも魂振りです。
お見送りの時に手を振るのは、その人の旅の無事を神に祈る行為だっだのです。
海外でも日常的に手を振ることはありますが、人間の行動とその心理は、国境を越えて繋がっているのかもしれません。

告白

袖を振る行為は歌舞伎などでも良く見かけますが、意中の男性に思いを伝える方法の一つとして、長い袖を振っています。
万葉集にも袖を振るというキーワードはたびたび登場します。

有名なのが、天智天皇の想い人となった額田王が、遠くで自分に向けて袖を振る大海人皇子のことを歌った歌です。
「茜さす 紫野行き 標野行き 野守りは見ずや 君が袖振る」

まだ大海人皇子と呼ばれていた天武天皇が、額田王への恋心を袖を振って意思表示をしているのを見て、もし天智天皇に見られたらどうするのか、と心配して詠んだ歌です。
袖を振るというのは、異性への想いを示す行為だったのです。

良縁

結婚前の娘が長い袖の着物を着るのは、良縁を呼び込む魂振りのためです。
その袖を使って、気になる異性に意思表示をした女性もいたことでしょう。

江戸時代の女性は結婚前と結婚後では髪型も変わり、結婚すると鉄漿をして夫以外の男性の目につかない様、地味になります。
同様に、結婚すると良縁を願う必要がなくなるので、袖は短くなるわけです。
成人式に長い振袖を着るのは、これから大人になって行く女性の良縁と、悪い気を払う厄除けの二つの意味があるのです。

成人式以外で振袖を着る機会は少ないのが現状です。
学生の場合卒業式の後の謝恩会で着たり、歌舞伎座や舞台鑑賞などの正装として着る機会はあります。
また、身内の結婚式で着ることもありますが、動きが制限されるなどの理由で敬遠する女性も少なくありません。

晴れ着は決して安価ではなく、多くは両親や祖父母からの贈り物です。
後悔しないようにできるだけ多くの機会に着用すると良いでしょう。