初午祭りと稲荷

初午(はつうま)とは、2月最初の午の日のことをいいます。
初午の日に合わせて行う祭りは稲荷社の祭りとして有名でさり、全国の稲荷神社へ参詣することを「初午詣(福詣)」といいます。
初午祭りが最も盛大に行われるのは京都の伏見稲荷大社です。
伏見稲荷大社には、昔驕り高ぶった長者がお餅を的にして弓を射たところ、餅は白鳥となって飛び立って山の峰に降り立ったという伝説が残っています。
この白鳥が降りたところには稲が生えたとされており、その場所に紙を祀ったのが始まりということです。
なお「稲荷(いなり)」という言葉はこの白鳥が「稲になる=イナリ」という語呂合わせがもとになったもので、以後農業の神として稲荷神社は全国に広がっていきました。

初午のお祭りはこのため農業を営む人たちにとってのその年の豊作を祈願するお祭りとして定着していますが、江戸時代には農民ではなく商業をする町民にとっても重要なお祭りとして機能をしてきた歴史があります。
近世の江戸では稲荷神社は商売繁盛・招福・厄除け・大漁・子宝といったあらゆることに効能をもらたしてくれる幅広い神として取り扱われており、この時期に稲荷神社という形態が一気に多くの市町村に広がっていったとされます。
その広がりは社を作るというだけにとどまらず、やがて個人が自分の家の中に小さな社をつくっておき、そこにお稲荷さまを屋敷神として招聘するといったことも行われました。
稲荷神社の特徴といえば、やはり赤い鳥居です。
家の中の祠に鳥居がある場合には、この時期にお稲荷さまを呼び込んだということなのでしょう。

お稲荷さまのお祭りである初午では、赤い幟や五色の幟を立て、赤飯や油揚げを供えるようになっています。
関東地域では初午のときに養蚕の祈願も行ったことが知られており、蚕影様(こかげさま)、オシラサマといった蚕の神様として崇めるところに蚕の繭をかたどった団子をそえたりもします。
初午はまたその年の火事を占うものとして言われており、初午が例年よりも暦上早く来る年には火事が起こりやすいとして注意をするようになっています。
福島県の一部では初午の日に早くお茶をいれると火のまわりが早くなってしまうということから、初午の日にはお茶を飲まないというふうにしている地域もあるといいます。
栃木県や茨城県、埼玉県の各地域では、初午のときに作るシモツカレ・スミツカリといった独自の郷土料理を作るところがあります。