香川県で400年以上伝わる「嫁入り菓子 おいり」とは

400年以上伝わる「嫁入り菓子おいり」

瀬戸内海に面した香川県は、古く讃岐国と呼ばれていました。
今でこそ1つの県ですが、江戸時代には高松市を含む東讃は高松藩、西の西讃は丸亀藩に分かれていました。
江戸文化の強い影響を受けた東讃と、京文化の影響が強い西讃ですが、そんな西讃に400年にも渡って受け継がれてきた嫁入り菓子を「おいり」と言います。
「おいり」とは、ほのかに黄・緑・紫・赤・桃色の5色に彩られた直径1cm程度の可愛らしいあられのお菓子です。

現在も、花嫁はその「おいり」を手土産に持ってお嫁入りをしています。
現在のおいりは、桃色や白、空色、オレンジ色等様々な色のおいりもあるようです。
外はふわっとした食感が特徴で、口に入れるとあっという間に溶けてしまうのが特徴です。
ひなあられの雰囲気に似ていて、甘さは控えめです。
結婚式の引き出物をはじめ、土産菓子としても用いられています。

おいりの歴史と由来

大きく朱色で「寿」と印刷された、両手の平にのるくらいの紙の袋の口を開くと、中からは思った以上に軽い5色の丸いあられ「おいり」がこぼれ落ちます。
食べるのがもったいない程綺麗でやさしい色味のおいりを1つ口に入れると、なんとも言えないやさしい甘味が口の中で雪のように溶けていきます。

香川県の西側に伝わるおいりは、普段食べるお菓子ではなく、嫁入りの時だけに用いられるお菓子であり、「花嫁がやってきた」ことを示している特別なお菓子です。
おいりの由来は、今から400年以上前、丸亀の初代藩主の姫君がお輿入れの際に、領下の1人の農民が、花餅を煎って作った5色のあられを献上したのが始まりと言われています。
「新しくその家の一員として、心を丸くして一生懸命で働きますのでよろしくお願いします」という意味が込められています。

おいりの習わしは、その地域によって微妙に異なります。
例えば、香川県坂出市の場合、「仏壇参り」という風習があり、お嫁入り当日の朝に、花嫁は生家から婚家に行き、仏壇参りをするのですが、その時花嫁が手土産として「おいり」を持参します。
花嫁を見に来た近隣の人々に、「これからよろしくお願いします」という意味を込めて配ったと言います。

現在では簡略化されていて、挨拶は結婚式の前に行われるようになっていますが、それでも婚礼の際にはおいりが必要不可欠とされています。
更に、坂出市には他にもおいりに関する興味深い風習があり、近くで嫁入りがあると聞けば、子どもたちがそれを覗きに行きます。
その子どもたちの為に、砂遊び等に用いられる小さなプラスチック製のカラーバケツを準備して、中にシャベルや人形のようなおもちゃと一緒においりが入るそうです。