福井県で行われている「一生水と万寿まき」とは

福井のしきたり「一生水」と「万寿まき」

日本全国には、昔から受け継がれてきたその土地々々固有の婚礼文化があり、とりわけ北陸は、古くからのしきたりや慣習が今現在も比較的残っている地域となっています。
福井県では、新婦が結婚式当日、婚家に行きお仏壇参りをするのですが、その際に「一生水」と「万寿まき」という独特の儀式が行われています。
その儀式はどのようなもので、なぜ行われるのでしょうか。

福井は「派手婚文化」?

実は福井県は名古屋よりも派手婚文化と言われており、普段の生活ぶりは堅実で決して派手なものではなくても、婚礼の際には思いっきりお金をかけるようです。
以前は、あのうちは嫁入り文化をトラック3台で運んだと聞けば、「それならうちは4台で」ということもあったようで、これは、より盛大に、というある種のサービス精神や子供への財産分けという意味合いもあったと言われています。

昔のように「ガラス張りのトラックに、着物をたくさん入れたタンスをいくつも運んだ」というようなお嫁入りはほとんどないようですが、今でもお色直しは4着が一般的で、引き出物も昔ながらの縁起物は人気があります。
その振る舞いの1つが「万寿まき」であり、「まんじゅ」とは、「饅頭」のことで、縁起担ぎとして「万寿」とされています。

一生水と万寿まきの習わし

福井の伝統的な婚礼とは、まず花嫁が婚家(花婿)に向かうところから始まります。
玄関で、一升枡の中の水の入った盃を受け取って、水を飲み干します。
「一生この家の水を飲みます」という誓いの意味が込められており、「一生水(一升水)」と呼ばれます。
一升枡を持って出迎えるのは婚家の子供か若い女性です。
かわらけ(素焼きの器)の盃で飲み干し、その盃はその後玄関先で割ります。
「後戻りできない」という意味があり、かわらけがちゃんと割れるまで行われるそうです。

花嫁が玄関で一生水の儀式をして婚家に入ると、打掛から白無垢へお色直しをし、お仏壇参りをし、婚家のご先祖に家族の一員となることを報告します。
この時は花婿が一緒にいないのが習わしで、挙式の時に始めて美しい花嫁を見ることになります。
花嫁の婚家立ち寄りの際には、近所の人や多くの人が集まります。
幸せ(万寿)のお裾分けでもある万寿まきは、集まる人が多ければ多いほど幸せだと考えられています。

最近では、自分たちも何か個性的なおもてなしをしたいと希望する若い新郎新婦に万寿まきが見直されているようです。
明治時代から始まったとされる万寿まきや一生水は、少しずつ形を変えながらも現代まで守られています。
最近は、自宅での万寿まきは減少傾向にあり、結婚式場で行われているようです。